その生きづらさ、あなたのせいじゃない
「厳しい親に育てられた」と感じている人へ。
人前で取り乱さないように、自分に厳しく、常に「正しさ」を意識して生きてきたあなた。
その背景には、子どもの頃に親から受けた“しつけ”や“教育”という名の圧力があるのかもしれません。
でも、その生きづらさは、決してあなたが弱いからでも、ダメな人間だからでもありません。
この記事では、厳しい親に育てられた人が抱えやすい心の傾向を紐解きながら、どうしてそうなったのか、そしてこれからどうすれば少し楽になれるのか、一緒に考えていきたいと思います。
なぜ、厳しい親は子どもに強く当たるのか
しつけと称した“支配”の正体
「厳しさは愛情の裏返し」「子どものためを思って」と言われることもありますが、それがいつのまにか子どもを思い通りに動かすための“支配”になっていたケースも少なくありません。
親が感情的に怒鳴ったり、厳罰的な態度で接したりする背景には、自身のストレスや未消化の感情が投影されていることもあります。
「愛情ゆえ」は本当か?親世代の背景と時代性
戦後や高度経済成長期を生きた親世代は、「我慢してこそ一人前」「甘やかすとダメになる」という価値観に影響されて育ちました。
そのため、愛情の表現が「厳しさ」になってしまったこともあります。
時代の価値観が変わっても、その感覚は世代を超えて引き継がれてしまうことがあります。
比較や評価の中でしか愛せなかった親たち
「◯◯ちゃんはもっとできるのに」
「テストで100点とって当たり前」
そんな言葉の裏には、親自身が子どもの頃に条件つきの愛を経験してきたという背景もあります。
つまり、親もまた、自分の親から「できて当たり前」「ちゃんとしていないとダメ」といった厳しい基準で育てられてきた可能性があるのです。
そうした価値観が連鎖し、無意識のうちに自分の子どもにも同じ接し方をしてしまった…それは“教育”というより、親自身の癒されなかった傷の表れとも言えるかもしれません。
厳しい親に育てられた人に見られる7つの心の傾向
1.自分に厳しすぎる
完璧主義で、自分に対するダメ出しが止まらない。
ちょっとした失敗にも「私はダメだ」と感じてしまう人は、幼少期に「ちゃんとしなさい」「ミスは許されない」と言われ続けてきた可能性があります。
2.人の顔色をうかがってしまう
親の機嫌ひとつで家庭の空気が変わるような環境で育った人は、無意識のうちに「怒らせないように」「嫌われないように」と他人の表情や態度に敏感になります。
3.褒められても素直に受け取れない
褒められても「たまたま」「そんなことない」と受け流してしまうのは、「認められる=ご褒美」でしかなかった経験からかもしれません。
無条件に愛された記憶が少ないと、承認が怖くなってしまうこともあります。
4.怒られることに過剰に反応する
大きな声や否定的な言葉に過敏に反応してしまうのは、過去の記憶が心に残っているから。
怒りに対する“防衛本能”が働いてしまうのです。
5.がんばりすぎて燃え尽きてしまう
「できる自分」でいないと愛されない──そんな思い込みが強いと、常に全力を出し続けてしまい、心も体も疲れ果ててしまう傾向があります。
6.感情を出すのが苦手
泣いたり怒ったりすると叱られた経験から、「感情=悪いもの」とインプットされている人もいます。
そのため、大人になっても素直に気持ちを表現するのが苦手になることがあります。
7.親密な関係に不安を感じる
近づきたいのに、近づかれるのが怖い。そんなジレンマを抱えることも。
愛されたいけど、裏切られるかもしれない。
そんな不安が心の奥にあるのかもしれません。
「いい子」がやめられない大人たち
自分の感情よりも「期待に応えること」が優先だった
小さな頃から「いい子ね」「ちゃんとしてて偉いね」と言われ続けると、いつの間にか“期待に応える自分”を演じることが当たり前になります。
けれど、それは自分の本音を置き去りにしてしまう行動でもあります。
「いい子」を演じ続けてしまう
職場でも家庭でも、無意識に「ちゃんとしなきゃ」と頑張りすぎてしまう。
「迷惑かけちゃダメ」「弱音は吐いちゃいけない」と、自分を追い込んでいませんか?
それは、子どもの頃の“正しさ”が大人になっても続いている証です。
無意識の“自己否定”が、今の苦しさにつながっている
「本当の私は、ダメな人間かもしれない」──そんな無意識の思い込みがあると、人間関係も仕事も苦しくなります。
過剰な自己否定が、あなたを縛りつけているのかもしれません。
気づいた今から、少しずつ手放していける
過去の傷は、悪いものではなく「守るため」だった
厳しさの中で身につけた心のクセは、自分を守るために必要だった“戦略”でもあります。
それを否定せず、「ありがとう」と手放していくことが癒しの第一歩です。
感情に気づくことから始めよう
「つらい」「さみしい」「怒ってる」──
まずは、自分の感情に気づき、言葉にしてあげること。
それだけで心は少し落ち着きます。
感情を見つめることで、過去に押し込めてきた本音にも気づけるかもしれません。
「親と同じようにしない」と決める強さ
自分が受けた影響に気づいた今、次は「自分の人生をどう生きたいか」を考える番です。
親のようにはならない、そんな選択もまた、強さの証です。
あなたの人生を取り戻そう
過去は変えられません。でも、これからの生き方は選べます。
「傷ついてきた私」に気づいたあなたには、その手に未来を選び直す力があります。
親の期待や他人の目線に振り回されるのではなく、自分自身の願いや心地よさを大切にする日々を始めていきませんか?
あなたにはその価値があるし、もう十分頑張ってきました。
どんなにゆっくりでもいい、一歩ずつ、自分の人生を取り戻す旅を始めましょう。
あなたの幸せのために
あなたが今感じている生きづらさや心のクセは、すべて“理由があること”でした。
それは弱さではなく、生き抜くために育まれてきたもの。
だからこそ、少しずつでいい、自分に優しくなれる時間を増やしていきませんか?
誰かの期待を満たすためではなく、自分自身の幸せのために。
そう思えたときから、きっと少しずつ、あなたの世界は変わっていきます。